2015.12.30 01:43歌会たかまがはら採用歌 2015年◎歌会たかまがはら9月号お題「ホーム」ゲスト:土岐友浩さん 司会:天野うずめさん降り立ったこのホームではわたしたち間違いのない景色になれる(土岐友浩さん選/放送内採用)---------------------------------------------------------◎歌会たかまがはら10月号お題「飛」ゲスト:田丸まひるさん 司会:天野うずめさん空港で買った四角い海は飛ぶきみのポストを夏にするため(田丸まひるさん選/放送内採用)会いたいと言えたら少し軽くなる飛び立つ羽が生まれる背骨(天野うずめさん選/放送外)
2015.12.29 06:582015/12/248453 声すらも聴けないことが日常で今年のイヴも日常だった8452 駅前のトナカイの角の電飾に君への星を引っ掛けておく8451 きらきらとやたら綺麗に見えるからあなたと街を歩くのは嫌8450 しあわせな人の吐き出すしあわせで膨らむ街を切る観覧車8449 逢える日のことを話して逢えないでいるこの夜に星を降らせる8448 あしたには一歩離れた距離感でおはよう(いつかいなくなるひと)8447 おやすみをもう言わないと決めてみる一歩離れてゆけると思う8446 そうなにも生み出さないで消えるだけ絡まる糸をほどいてゆけば8445 干上がっているような絞られるようなこれが痛みというものですか8444 ほんとうをもう取り出せなくなっていてどうしたのとか訊かれましても
2015.12.29 06:572015/12/238443 つらくないつらくないつらくないつらくないかなわからないけどたぶん8442 じゅくじゅくと泥濘む心どうすればいいの声なく夜毎震える8441 これ以上誰にも出会いませんようにたったひとりを待つ冬の窓8440 飾り付けしながらそっとヒイラギにたいせつなひとがいますと告げる8439 ひらくたび磨り減る心いつまでも付かない既読の文字を探して
2015.12.29 06:572015/12/218436 握る手も深い声もやさしいことを忘れて深夜眠らずにいる8435 体表の全てを晒すさみしさをさみしさと伝えられないひとに8434 夜更けには終わりばかりが見えるから背を向けたまま朝へ漕ぎ出す8433 もうすこし眠れるはずだ 声が聴きたいなんてこと言える日々なら8432 たぶん夜がわたしをさみしくさせているわけではなくてあなたのせいで
2015.12.29 06:562015/12/208431 割れそうな頭を抱え真っさらな世界を歩く足跡もなく8430 消えてゆく絆のひとつふたつみっつ時間の使い方をわすれた8429 ここまでをどうして歩いてきたのだろう引いてくれる手のない冬の朝8428 待ちつづけ待ちつづけ切れてしまう糸もう歩けないつま先に降る8427 たぶんきっとこんなふうに過ごしてゆける心はんぶん失くしたあとも
2015.12.29 06:562015/12/188425 また明日なんて言えないこの夜をきみの寝息にまみれて翔ける8424 切ることもできず微かにくちびるが零してしまう呼び慣れた音8423 置き去りにされた気がするいとおしいひとの寝息を遠く聴きつつ8422 夜更け頃ふとさみしさはやってきて背骨をそっとノックしてくる8421 灰色の雲立ち込める手の中にあなたの街の冬が舞い込む8420 同じ地で生きているひと同じもの食べているひと はぜろ無花果8419 惜しみなく降らせるほどの愛はあり少し蛇口を固くしておく8418 話したい時間をぐっと飲み込んで遠いあなたが眠れますよう8417 文字列でぎゅーぎゅーぎゅーぎゅー抱きしめる 近付くこともない僕たちは
2015.12.29 06:562015/12/178416 両腕に有されることを許可します痛みは少しあるものとして8415 淋しさも諍いすらもしあわせと知るこいびとと呼ばれる刹那8414 (正しくはおまえもわたしなのだから)内に微睡む鬼へ伸べる手☆