2014.11.28 13:352014/11/276922 もう二度と会わないひとに凍らせた心を送る一行メール6921 簡単に会えないひとがいいわけじゃなくて会えないあなたといたい6920 唐突にすきが溢れて疼きだすスマホをひらく指の先まで6919 身体中あなたで満たし生きている僅かにひらく隙間ならある6918 会うたびに遠くなるからもう二度と会わずに続く関係とする6917 くちびるの用途を忘れ溢れ出すきみの言葉の渦に疲れた6916 どんなにか胸に焼きつく色だろう横で見上げるのがあなたなら6915 すれ違うことも危うい県道のふいにひらけてひかりの錦6914 がたがたの道でも決して間違えて触れないように硬く握る手6913 どこにでも連れて行けばいいとりあえず何をしたって笑ってあげる6912 おはようだな...
2014.11.26 04:01毎日歌壇 2014.11.24毎日歌壇 2014.11.24 加藤治郎選 に掲載していただきました。この街にいつもの場所が増えてゆきふたりで付けるおかしな名前毎日歌壇、三度目の掲載。前回から二週ぶりです。東京文学フリマ当日の朝に掲載されていたので、なんだか短歌的に幸先のいい一日の始まりでした!とりあえず三回掲載を目指していたので、念願叶ってすごく嬉しい。
2014.11.19 02:06HALLOWEEN JUNKEIS(2014/10/5)6909 人、人に紛れて生きるこの髪を上げれば四つ眼を持つわたし6908 ぴりぴりとふるえる睫毛十月の扉はどこにひらくのかしら6907 真夜中の柳はゆらぎ月を背にぴかぴかと影ふちどる鱗6906 近づいて触れる不躾を咎めずに異形の目どこまでもやわらか6905 振り向かず林檎を齧る鏡にはやさしい爪のあなたよ映れ6904 十月の扉は閉じる月光の丘にいとしい影を残してここに記録つけておくのを忘れていました。月丘ナイルさん主催のハロウィン企画(人外になりきって詠むハロウィン短歌)「HALLOWEEN JUNKEIS」へ寄稿した人外連作です。普段は人間社会で普通の人間に紛れて生きているけれど、うなじにも目をもつ四つ目の女性。ハロウィンが近づく中で生まれて初めて他の...
2014.11.19 00:152014/11/196903 腕のなかあたためたまま眠らせて闇はつめたくひかりに縋る6902 ねぇくびわつけておくからもうきみはどこにも行きたくないはずだから6901 一面のうすい水色病棟は駆け出すためのリノリウム床6900 眠る前だけに横切るしんじつは痛くて綺麗とがったひかり6899 (不協和音)ハーモニーなら消えてゆくあなたが恋をしているせいで6898 ほんとうのキスは甘いと知っている?罠とは違った甘さだけれど☆6897 罠になどかかってくれないひとでしょうただ甘いだけのキスしませんか(お題:ハニートラップ)6896 やわらかに僕のすべてを受け止めてダメにしてゆくビーズクッション(お題:発泡スチロール)6895 ふんわりと胸毛を撫でるこのゆびのタネと仕掛けにまみれた魔...
2014.11.19 00:122014/11/136893 アイドルとあたしとどっちがいいですか ふくむ直前ですが答えて(お題:アイドル)6892 ふかふかと陽だまりの音ひびかせてオルガンみたいにわらうからすき(お題:オルガン)6891 囚われて手首のち腕、降下するけものの息に脇はふるえる(お題:脇)6890 やわらかくかすかに甘くさりげなく初雪くらいやさしくふって(お題:初雪)6889 空港で買った四角い海は飛ぶきみのポストを夏にするため(お題:空港)6888 嘘ばかり 太陽風を見ただとか一生愛しつづけるだとか(お題:太陽風)6887 黒板の「弥生式土器」写しとるきみの苗字の土だけきれい(お題:土器)6886 終電を守り続けて一生を終えるのだろう 星もみえない6885 望んでも行けない街の名を掲げ新...
2014.11.13 02:072014/11/86880 断ち切れば孤独はなくて断ち切れば喜びもなくしずかな眠り6879 心臓のすべてを埋めてしまいたい夜に限って透明なひと6878 明日からも動き続ける毎日に消えたパーツはすぐ埋められる6877 必要を不必要へと変えてゆく誰にも気づかれない温度で6876 少しずつ壊していけば気づかない空虚であたたかなこの箱は6875 もう無理にご飯は食べなくたっていい緩やかな緩やかな解放6874 手はじめにひとりで生きていくための荒れた爪から放置してみる6873 そうきみも現実にならない愛が淡くひかりを放つのでしょう6872 内側を冷え冷えさせて微笑めば正しく続けられる関係6871 てのひらの液晶ですべて片づいてしまう手ざわりのないくらしは6870 手放してしまえた...
2014.11.13 02:072014/11/96883 仕返しときみを両腕に閉じ込める 笑ってないで少しは困れ6882 向かい合う閉じた世界で吐く息の温度ばかりがあがる壁際6881 両腕に阻まれて仕方なかったと言い訳できるこのくちづけは※むちゃぶり短歌投稿 テーマ「壁ドン」
2014.11.13 02:062014/11/66861 ひりひりと誰もが抱いている傷をうけとる夜だ妙にあかるい6860 ざあざあと湯が滴れば数粒が塩っぱくたって気づきはしない6859 真っ直ぐに前を向けないわけじゃなくシャワーヘッドに甘えてるだけ6858 知っていたはずの無力をひろげられうみの底吐きだす息ひとつ6857 冷ややかなものを引きずり温かなことばも冷えて白のみずうみ
2014.11.13 01:572014/11/26856 限界の夜だ あなたを失えば世界は色を持たぬしずけさ6855 何かしていないと埋まり溢れ出す思考にさみしさなんて名付ける6854 パソコンをひらけば思考せずに済む作業が僕の指先を待つ6853 いつまでもこうしていてもつらいだけ本の世界に思考を逃がす6852 ただひとつ足りないものがあるせいで世界すべてが傾く夜だ