お題:『か細い声が耳に残る・あたたかな体温・一緒でいい、一緒がいい』

あたたかな体温を左腕に感じていた。
放課後の理科室。
遠くで騒ぐ声が聞こえる。
「…そろそろ帰らなきゃ」
僕の腕に頭を預けたまま彼女が呟く。
「うん、別々に出ようか」
少しの沈黙。
「…一緒でいい」
「…え」
「……一緒が、いい」
掠れたか細い彼女の声がいつまでも耳に残る。

(2011.09.04)

KohagiUta

Kohagi Chihara|tanka & design|

0コメント

  • 1000 / 1000