2015.10.29 02:242015/10/288297 足りなさを詰め込むばかりあのひとの入る隙間も見つからぬよう☆8296 諦めることを訓練するようにこの数年をあなたと生きた8295 ほんとうにほんとうに失くしてゆけそう思い出さずにオムレツを焼く
2015.10.29 02:232015/10/238291 言えることひとつもなくて飾り気もなくてただあいたいが溢れる8290 横顔にさみしい色を見つけたらまた遠ざかる理由を失くす8289 ひりひりと壊れる音がするけれどまだ手放してしまえないひと8288 寝不足の続く毎日でなければふたりを保つことができない8287 ぽつぽつと赤らむ肌に問いかける あのひとを恋う代償ですか
2015.10.29 02:232015/10/218286 快晴の内側は雨 たいせつな今日をしずかに湿らせている8285 ふるふると震えるジェンガ一瞬であなたを失くす準備をしてる8284 いつかいつか叶わないことばかりあるどれだけ日々を重ねてみても8283 できるだけ遠くいましょうかろうじて指の先だけ触れてるような8282 せつなさの揺蕩う日々を生きてゆく秋のせいにもできないほどの8281 快晴の秋晴れは寂しくもありたいせつな日がひとり始まる
2015.10.29 02:232015/10/198280 なにもかもさみしい真昼 足りなさを空腹のせいにして飲み込む8279 さみしさもかなしさももう消えてゆく「ぎゅー」三文字で抱きしめられて8278 赤すぎる憂いは今朝のオムレツのケチャップに混ぜ踏み込む電車8277 覚めるたびちいさくなってゆく熱を消えないように抱えて眠る8276 会わなくて平気な星に引っ越した好きだけど好きだけど秋です8275 秋風に撫でられているひと月に会えないゆびの熱を忘れる8274 ふうわりとさみしい時間がおりてくるこんなにひかる秋晴れの朝
2015.10.29 02:222015/10/148272 9時37分着の快速があなたの駅にいま滑り込む8271 「乗った?」「うん、乗れた」「後ろを通ったよ」「どこ」「左」「いた」「おはよう」「おはよ」8270 文字だけのおはようを交わし合いながら少し掠れた声を浮かべる8269 階段を下りて歩いてまた下りて並んでやっと声の「おはよう」8268 隣り合い歩き出したらもうそれが自然みたいなふたりで歩く8267 スーツでは行けない場所に行くためにわたしが選ぶ紺のセーター8266 「寒くない?」「ちょうどいいかな」色づいた木々と背中を撫でてゆく秋8265 つなぎたい瞬間にくる おそらくはつなぎたいって思っている手8264 ひとことも言わずに二枚チケットを買ってまとめて通る入り口8263 だんだんと「ふたり」...
2015.10.29 02:222015/10/128235 持ち得ないパーツを探すいつかまたここじゃない別の未来で会おう8234 トーストに塗りたくられてゆくジャムの艶めく赤を灯すくちびる8233 また今日も新しいジャムを開けている甘さばかりの足りない日々に8232 いまなにをしてますか、ところでわたし、いつになったら消すのでしょうか8231 いないことばかり見せつけられている日曜朝の文字の白流8230 静寂に溶かされてゆき自我さえも手離せばもうきみの人形
2015.10.29 02:212015/10/108229 一夜きり実体を持ち得る今日のあたしは闇の色した子猫8228 抱き上げる骨ばった手と松明にやさしくゆらぐ横顔、ヒトだ8227 聴きなさい ただ一度きり濃く甘くその内耳まで蕩かす声を8226 硬い手も絡んだ脚もこのままで連れ帰ろうか我が死の国へ8225 ああこれでお終いなのだ 楡の葉の護符を掲げてゆくね、おまえも8224 いつもよりかなしく閉じてゆく扉 瞬きの間におまえは死ぬの『HALLOWEEN JUNKIES 2』/瞬きの間に