8272 9時37分着の快速があなたの駅にいま滑り込む
8271 「乗った?」「うん、乗れた」「後ろを通ったよ」「どこ」「左」「いた」「おはよう」「おはよ」
8270 文字だけのおはようを交わし合いながら少し掠れた声を浮かべる
8269 階段を下りて歩いてまた下りて並んでやっと声の「おはよう」
8268 隣り合い歩き出したらもうそれが自然みたいなふたりで歩く
8267 スーツでは行けない場所に行くためにわたしが選ぶ紺のセーター
8266 「寒くない?」「ちょうどいいかな」色づいた木々と背中を撫でてゆく秋
8265 つなぎたい瞬間にくる おそらくはつなぎたいって思っている手
8264 ひとことも言わずに二枚チケットを買ってまとめて通る入り口
8263 だんだんと「ふたり」に慣れてくる日々にどんなふたりに見えるのだろう
8262 たくさんのヒト、ヒト、ヒト、ヒト きっと今ここでいちばん多いどうぶつ
8261 「やさしい目してるなゾウは」そう言ったあなたのほうがやさしい目つき
8260 サル山で毛繕いするサルたちの寄り添い生きる日々を羨む
8259 日曜の午後とかいいね 眠るきみの髪をいつまでだって撫でたい
8258 サルたちの手つきを真似て笑ってるいつでもこんな僕らでいよう
8257 嫌いなもの嫌いと言っていいひとを熱帯動物館に見送る
8256 ヤブイヌのやたらかわいくない顔がかわいいらしいわがこいびとは
8255 そうかそうかだからわたしを選ぶのだ かわいいなんて愛おしそうに
8254 本日の特別イベント会場として選び出す青色ベンチ
8253 生姜味唐揚げと甘い卵焼き、これが二度目の手料理ですね
8252 気付いたらおかずは空になっていた あっという間の「あっ」も言わずに
8251 青空を映したベンチ ぱらぱらと開く本 目の前のこいびと
8250 聞こえないふりして顔を近づけてこの距離でいられる今日がすき
8249 歩き出すたびにしずかに絡む指 存在を確かめ合うように
8248 秋晴れはどこまでもやさしく澄んで許されているような午後二時
8247 満員のバスにゆられる 鏡ごし澄ました顔をそっと見ながら
8246 「どこ行こう」「カラオケ?」「いいよ」 ふたりしかいない世界でやっと吐く息
8245 交代で杏仁豆腐を平らげる 意外と甘党だって知ってる
8244 選曲もしないですぐに真隣に座るあなたの我慢に気付く
8243 膝の上あまえたなひとを撫でているそれだけのどこにもないしあわせ
8242 つながる日、つながらない日、どんな日も今のふたりに必要な日々
8241 ピリオドが打てなくなって時間まで何度も何度も触れるくちびる
8240 宝物みたいな今日を引き延ばすために駅までゆっくり歩く
8239 ひとこともなく合う歩幅(もう少し、まだもう少し)同じ気持ちで
8238 くちづけはしない賑わう改札でまた手の甲にくれるくちづけ
8237 しばらくは触れられないと知っていて離れる指に微熱を残す
8236 今日の日をなんにも忘れたくなくてひとつぶひとつぶ閉じ込める歌
折本「秋晴れと紺のセーター」
8271 「乗った?」「うん、乗れた」「後ろを通ったよ」「どこ」「左」「いた」「おはよう」「おはよ」
8270 文字だけのおはようを交わし合いながら少し掠れた声を浮かべる
8269 階段を下りて歩いてまた下りて並んでやっと声の「おはよう」
8268 隣り合い歩き出したらもうそれが自然みたいなふたりで歩く
8267 スーツでは行けない場所に行くためにわたしが選ぶ紺のセーター
8266 「寒くない?」「ちょうどいいかな」色づいた木々と背中を撫でてゆく秋
8265 つなぎたい瞬間にくる おそらくはつなぎたいって思っている手
8264 ひとことも言わずに二枚チケットを買ってまとめて通る入り口
8263 だんだんと「ふたり」に慣れてくる日々にどんなふたりに見えるのだろう
8262 たくさんのヒト、ヒト、ヒト、ヒト きっと今ここでいちばん多いどうぶつ
8261 「やさしい目してるなゾウは」そう言ったあなたのほうがやさしい目つき
8260 サル山で毛繕いするサルたちの寄り添い生きる日々を羨む
8259 日曜の午後とかいいね 眠るきみの髪をいつまでだって撫でたい
8258 サルたちの手つきを真似て笑ってるいつでもこんな僕らでいよう
8257 嫌いなもの嫌いと言っていいひとを熱帯動物館に見送る
8256 ヤブイヌのやたらかわいくない顔がかわいいらしいわがこいびとは
8255 そうかそうかだからわたしを選ぶのだ かわいいなんて愛おしそうに
8254 本日の特別イベント会場として選び出す青色ベンチ
8253 生姜味唐揚げと甘い卵焼き、これが二度目の手料理ですね
8252 気付いたらおかずは空になっていた あっという間の「あっ」も言わずに
8251 青空を映したベンチ ぱらぱらと開く本 目の前のこいびと
8250 聞こえないふりして顔を近づけてこの距離でいられる今日がすき
8249 歩き出すたびにしずかに絡む指 存在を確かめ合うように
8248 秋晴れはどこまでもやさしく澄んで許されているような午後二時
8247 満員のバスにゆられる 鏡ごし澄ました顔をそっと見ながら
8246 「どこ行こう」「カラオケ?」「いいよ」 ふたりしかいない世界でやっと吐く息
8245 交代で杏仁豆腐を平らげる 意外と甘党だって知ってる
8244 選曲もしないですぐに真隣に座るあなたの我慢に気付く
8243 膝の上あまえたなひとを撫でているそれだけのどこにもないしあわせ
8242 つながる日、つながらない日、どんな日も今のふたりに必要な日々
8241 ピリオドが打てなくなって時間まで何度も何度も触れるくちびる
8240 宝物みたいな今日を引き延ばすために駅までゆっくり歩く
8239 ひとこともなく合う歩幅(もう少し、まだもう少し)同じ気持ちで
8238 くちづけはしない賑わう改札でまた手の甲にくれるくちづけ
8237 しばらくは触れられないと知っていて離れる指に微熱を残す
8236 今日の日をなんにも忘れたくなくてひとつぶひとつぶ閉じ込める歌
折本「秋晴れと紺のセーター」
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