2014.09.29 07:322014/9/276681 秋の陽は傾いてゆき巻き戻すようにくちびる塞がれてゆく6680 もういいと手を離すから巻き戻しボタンを押して必ず押して6679 一年を巻き戻せたら出会わないルートもあったのか太刀魚よ6678 虚構だと告げられ何度も微笑んでけれど微かに暗き疼痛
2014.09.29 07:322014/9/266677 コンタクトやっと外してこの夜に会えないことを受け入れてゆく6676 かなしみはあなたがそばにいるせいでよろこびもしあわせもそのせい6675 結局はいつもそういうことなんだ空は白んでただ会いたくて6674 ばかかって怒られているばかかって初めてきみを怒らせている6673 すきすぎてきらいになるとかありますかそれはやっぱりすきなのですか6672 かなしさとさみしさを積み重ねてるあなたがすきできらいですきで
2014.09.29 07:312014/9/246670 素っ気ない茶封筒ごと直筆の手紙は捨てられずにまた秋6669 茶色い目すきなら覗いてくれていいそのままキスをしてくれていい6668 毛先から褪せてゆくからきみじゃない人との日々を今日切り落とす
2014.09.29 07:312014/9/236667 どんぐりを拾い集めて正確に真上に投げてセルフおしおき6666 なんのためかと言われたら泣くための甘めに焼いたパウンドケーキ6665 秋のなか配達人は走り去りシナモンスティック浸す夕暮れ6664 待ち人か旅に出るのか夕ぐれのバス停ベンチにおひとりのクマ6663 仕方なく眠るしかないほたほたと痛みが目から溢れてしまう6662 心臓に引っ掻き傷をつくらないために瞼を無理やり降ろす6661 睨み顔だけど不機嫌なわけじゃない晴れの日撮った写真はいつも6660 虹彩がきれいと言ってくれたから好きになりそうまぶしい駅も6659 立ち入れば立ち入るほどに繁る葉で声も姿も見えない初秋6658 忘却のあさ目覚めれば何ひとつ持たないただのわたしで生きる6657 お...
2014.09.29 07:312014/9/226654 「バカ」なんてふいに零れる眠い目を勝手にあけていただけのこと6653 待つだけの夜は長くて痛むからあなたを探すスイッチを切る6652 昼休みただ半刻の占有に二度のくちづけ染む秋薔薇6651 なにひとついつもと変わらない朝におはようさよならいい天気だね☆6650 あなたにはたぶんわからない暗号でさよならを言う最後のあそび6649 振り返らないで名前も呼ばないでふたりの朝を忘れてゆこう☆6648 永遠に六時のままのお茶会であなたと歌をうたいたかった6647 迷うだけ迷って恋に囚われてまたチェシャ猫に笑われている6646 落ちたなら誰にも元に戻せない恋を飾ろうあの塀の上6645 騙されているんじゃないわ最初から欲しいのはニセウミガメのスープ6644...
2014.09.29 07:302014/9/216638 空白は消えない硝子そのことじゃないけど明日ランチに行こう6637 あの日からもう一年が近くなり戻らないひとに呼ばれる名前6636 「僕たちは兄弟だから」頷いてみせることすらできない身体6635 ナイロンでできてるらしい黒髪を綺麗だなんて細いゆびさき6634 半歩すら踏み出せないでぴかぴかに磨き上げられている膝小僧6633 週末のたびにあなたは薄らいで会わない朝の明けてゆく色6632 週末はあなたを消して見送って目を瞑ることだけうまくなる6631 どうしたらゆれてくれるのニーハイの写真にすらも返事はこない
2014.09.29 07:292014/9/196628 ふわふわの甘い上辺を味わってそれで満足するはずだった6627 叶うことのない願いばかり分かち合い口にするたび傷だけ増える6626 どうしてもそこには立てない立ちたいと言えば言うほど冷えてゆく芯6625 話すたび話すたび言葉の裏に別の誰かを見る秋愁6624 新刊に視線を落とす横顔を眺めるだけのランチの終わり6623 玉ねぎとご飯の醤油炒めかなケンカ後きみの初の手料理6622 背中から離れないきみに静かなる制裁として刻む玉ねぎ6621 狭すぎる台所で顔を洗っていた毎朝がわたしをつくる6620 鍋を振るこのてのひらはさっきまであなたの頬に手に触れていた6619 困らせてばかりの日々も最期には愛しく思ってくれるだろうか6618 ざあざあの雨はすっかり...
2014.09.29 07:292014/9/186614 嬉しくて選ばれている今があるおんなじ髪の匂いをさせて6613 引き際をみずから決めたサンダルにならうことあり秋の風吹く6612 ギャップ萌えの代表だろう終えたあと小さく愛らしくちぢまって6611 限界だなんて言うけど知っている間際に化する最終形態