2014.06.30 01:062014/6/286212 屋上は一人と一羽の城となり傾きばかり刻む夕暮れ6211 ぴかぴかと黒羽はひかるこころごと消してください屋上の主6210 夕暮れに羽持つものは溶けてゆき僕はひとりで屋上に立つ6209 筋張った腕に見惚れているだけの夕暮れなにも言えない夏の6208 忘れ去るまで切らないと決めたけど絡み合う髪ほどけない脚6207 待ってって言えず慣れない下駄のままあなたの背中ばかりを追った6206 お囃子の溶け込む夜につつまれた指さき夏をはじめてしまう6205 助手席でまた鼻歌を歌ってるさみしいしるしなのは知ってる6204 一瞬のような一日 触れ得ないことが日常なのだふたりは6203 夢うつつ目覚めるたびに引き寄せてまた眠るから動けずにいる6202 閉じられたまぶ...
2014.06.30 01:062014/6/276187 立ち止まりふいにキスなんてするから平気なふりはできなくなった6186 花の名を呼びながら歩く「よく知ってるな」って褒めてくれたっていい6185 あたりまえみたいにふたたび手をつなぐ特別なことと知ってるきみと6184 ご利用の時間は過ぎて桟橋に縦列駐車される白鳥6183 遠くなる桟橋を背に航行を運休します ふいのくちづけ6182 水面を並んで走るアメンボに微妙な距離を冷やかされてる6181 叶えたいことのひとつを叶えようスワンボートがゆれる桟橋6180 手をつなぐための選択ひと気ない公園をゆく普通のふりで6179 話さない時間がもったいないくらいきみだけで満たしてほしい今6178 「晴れたねぇ」「良かったね」ってほんとうに言いたいことは音にでき...
2014.06.30 01:062014/6/236171 さっきまで繋いでた手はもう遠く梅雨の木陰に似ている淡さ6170 いつだって動けなくなる半身をきみに預けてしまったせいで6169 何度でも何度でも振り返るから愛されてると気づいてしまう6168 5分だけ世界から消えてしまいたい切り離されるためにするキス6167 簡単に残酷に時間は過ぎてきみを正しく攫ってしまう6166 物語みたいになれない僕たちはどこにも迷い込めない迷子6165 迷い込むために路地から路地をゆく現実なのは手のひらの熱6164 「おいしいね」「おいしいねこれ」おなじ時おなじ味おなじ景色をわけて6163 近づいてくるのは知ってて気づかないふりばかり上手になってゆく6162 そわそわとしてない見慣れた人なんて探していないひとりのベンチ...
2014.06.30 01:052014/6/226154 見なくていいものばかり見えてしまうからきみで視界を塞いでほしい6153 あの人の好きな人でもあるきみをわたしも好きでいていいですか6152 今日ふいに隣に並んでみたくなり高い一段飛び越えてみる6151 痛みだけ抱えた夜は高速をしずかに滑り過去へと変える6150 ありがとうしか言えなくて少しだけ高い右肩に預けた額
2014.06.30 01:042014/6/216149 見上げたら微笑むきみはいつだってやわらかに雲吹き散らす風6148 久々に胃薬を飲む僕の胃は心の限度を教えてくれる6147 あなたまで飛びたい想いを閉じ込めてホットケーキを厳粛に焼く6146 あたたかな眼差しにふくらむつぼみ 大気を交換し合うくちづけ6145 早朝の足音をじっと待っているいつかは摘んでくれるだろうか6144 踏まれたら踏まれた分だけ伸びてゆくこともできずに摘まれてしまう6143 咲き誇るよりもひっそりひらきたいたったひとりの視線を浴びて6142 図書室の机の下でふれあったつまさき夏はひそやかにくる
2014.06.30 01:042014/6/176141 夕焼けは正しく燃やしてしまうからいま触れないで友と呼ぶなら6140 カーテンにはつ夏の風ふくませて捕らえていいか友と呼ぶひと6139 たいせつなたいせつなあなたなのですが大事なものほどいつも消えます6138 打ち明けてしまえばきっと楽だろうすべて失くしてしまえるほどに6137 守りたいものがあるからやわらかなあなたを拒むためのほほえみ6136 失くしたくないものばかり壊されて知らないままで眠りたいゆめ6135 関係はすぐに壊れてしまうから黙ったままでまた積むジェンガ
2014.06.30 01:042014/6/166134 「もういい」と断定的に呟いて「まぁだだよ」とは言わせぬ終わり6133 ただひとり僕を泣かせてしまう人だったきみにも降り注げ夏6132 曇り空晴れてゆくのをただ見てるもうあわないと繰り返しつつ6131 おかしいな今日は雨だと思ったらどうやら僕の視界だけ雨6130 もうきみの心も汲み取れない僕はさよならさえも必然とする6129 雨雲よ泣いてもきれいにはなれずただ失望に浸されている
2014.06.30 01:032014/6/156128 やわらかな人たちに囲まれていて生かされている日々だと思う6127 なにひとつ交わらないで生きてたらそれもしあわせだったと思う6126 望んでもないのに花に変えられてその指先で摘まれてしまう6125 いつだって恋はひとつと決めていて両手に恋を持つ人を待つ6124 苦味ならいつも噛んでる会いたくて会えない人をひらがなでよぶ6123 猫の目の形で月は閉じられてあいたいいたいとうるんで落ちる6122 思い切り沈んでしまえ沈んだらあとは浮かんでゆくしかないし6121 抱くのかもしれないなんて考えて胃は疼くたぶん向かない恋に6120 それだけのことを言うならほんものにしてからおいで甘すぎるゆび6119 親しみも情も温度も思い出もすべてを嚥下する真夜中に6...
2014.06.30 01:032014/6/136117 かみあわない理由はわからないけれど黙ってしまえば目立たない傷6116 うつくしいことばばかりを詰めてゆくこころと同じかたちの箱に6115 ひんやりと空気はついに夏の朝きみのかけらが足りないままで
2014.06.30 00:34折本プチ歌集『なつのひ』折本プチ短歌集夏の日のデート短歌30首『なつのひ』短歌・デザイン:こはぎネットプリント:セブンイレブン【予約番号:97846459】ローソン他コンビニ【ユーザー番号:ZNWUJ3Y3TW】→「なつのひ.pdf」を選択どちらもA4/カラー/60円、有効期限は7月6日までです。前回の『はるのひ』の続編、といったところでしょうか。即詠でタイムラインに流した夏の日のデート連作25首と、あとから新しく追加で5首詠んだ計30首を、物語的に詰め込んだプチ折本歌集となっております。今回は前回の『はるのひ』よりオトナ風味。苦手な方はご注意ください…(・ω・;)
2014.06.13 07:292014/6/116114 くりかえしくりかえし聴く愛してるなんて直接聴けない夜に6113 ただ声を聴きたい夜にもどかしい再生ボタンなんかいらない6112 愛してるなんてすんなり言えるほど愛してしまう文字列までも