2016/1/9

8498 三年も続いた恋が唐突にしぼみ始めて落ちてゆく空
8497 病状を思えば眠れぬ夜となり闇ばかり深まる内と外
8496 きららかな街を灯した頬のその陰の辺りにひそむ引力
8495 車窓から見つめ返してくるひとの頬杖に降るさみしい夜は
8494 無意識に噛みしめている唇をするりとほどくあなたの文字は
8493 くちびるの動きを見逃さないでいて君だけにしか見せないかたち
8492 裏切りの暗くやさしい部屋にいる形ないものばかり挿れあう