お題:『この先に何もないと知っている・君には分かるまい・悲しみを放り投げて』

掌の中に硬く生温かいものを感じつつ、僕は無言で彼女の前に立っていた。
駅の改札。
この先、何もないことは知っている。
けれど最期の一言が言えない。
こんな感情、きっと君には分からないだろう。

僕はゴミ箱に掌の中の鍵を放り投げた。
それはまだ温もりの残る、僕の悲しみそのものだ。

(2011.11.23)


掌に残る温もりこの鍵は僕の悲しみそのものでした

KohagiUta

Kohagi Chihara|tanka & design|

0コメント

  • 1000 / 1000