自転車

終電間近、二人を乗せた自転車は駅へと走る。
ふと見ると、彼の髪が風を受けている。
襟から覗く首筋、広い背中。…抱きしめてしまいたい。
駅までは、あと少し。
おもむろに何も言わずぎゅっと抱きしめた。
…彼も、何も言わない。
助かった。
理由なんか訊かれてもきっと答えられないから。

(2011.05.01)

KohagiUta

Kohagi Chihara|tanka & design|

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