流星群

お題:「昼のベランダ」 「寂しがる」 「星」


■男の子side

「…結局見えなかったなぁ」
真昼のベランダで彼女がふと呟いた。
「何?」
「夕べの流星群」
「あぁ」
「お願い事したかったの」
「なんて?」
「…寂しくなりませんように」
─あと数時間で僕らはまた離れ離れだ。
「いつも寂しくて死にそうになっちゃうし」
笑顔で言う彼女を抱きしめていた。


■女の子side

結局見えなかった。
真昼のベランダで曇り空を見上げる。
昨夜は流星群が降るという夜だった。
「何?」
彼が訊く。
「お願い事したかったの」
─あと数時間でまた離れ離れになる。
「…寂しくなりませんようにって」
心配を掛けないように無理に笑顔を作ってみる。
彼が全てお見通しなのはわかっているけれど。

KohagiUta

Kohagi Chihara|tanka & design|

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