和歌山で短歌を楽しむ会(朗読・講演・第十五回鳥歌会)

昨日は紀水章生さん、ゆるらさんが企画の「和歌山で短歌を楽しむ会」でした。
まずはわたしと、泳二さん、とみいえさんによる短歌朗読、そして真中朋久さんの講演「マンガと短歌」、その後、第十五回鳥歌会という三本立ての楽しく充実した会でした。

【短歌朗読/泳二・とみいえひろこ・千原こはぎ】
泳二さん、とみいえさん共に、一週間前にお願いしたにも関わらず、素敵な朗読を聞かせてくださいました。
お二人とも紀水さんとは「風の*歌会(そののち歌会)」で繋がりがあり、そちらの歌会に提出した短歌数首を。そして、泳二さんは漫画がテーマの会ということでフィクション色の強い連作「アナザーピース」を、とみいえさんは和歌山でのイベントということでお土産の意味も込めて大阪が舞台となる連作「おおさか」を用意してくれました。
わたしはもともと少女漫画を作っていたこともあり、短歌も恋愛漫画のようにストーリー展開をしていく連作が多く、その中から季節に合ったものを、と「夏をはじめる」を朗読させていただきました。
朗読は何度目かになりますが、いつも「声で短歌を届けることの意味」みたいなものを考えてしまいます。どういった作品が朗読に添うのか、など、いろいろと深めていくと面白いテーマだなと感じています。

【講演「マンガと短歌」/真中朋久さん】
漫画を作っていたものとして、もともと感じていたことをわかりやすく言葉にしてくださったと感じました。
「緩急」の辺りは新しい発見で、
・漫画ではシリアスなコマの後にコミカルなコマを配置する、もしくは人物のアップの後にロングショットを配置する(またはその逆)
・短歌は連作に強い短歌ばかりを並べるとお互いを弱めあってしまうけれど、間にさりげない歌を配置するとより強い歌を引き立ててくれる
というお話がありました。
いろいろなところが似ているなと感じていた漫画と短歌ですが、漫画では自然にやっていたことが短歌にも通じているのだなと改めて気付かされ、とても興味深い講演でした。

【鳥歌会/司会・千原こはぎ】
お題「マンガ」はなかなかの難問でした。マンガ作品を詠み込むのか、マンガのキャラクターになるのか、マンガを描いているところを描写するのか、マンガにまつわる思い出を詠み込むのか…などなど、皆さんとても考えてくださったようで、いろんなアプローチの歌が集まりました。
詠草は11首、それをオブザーバーや司会、飛び入りさんも含め15人で読んでいきます。
今回の鳥歌会はいつもと違い、SNSなどされていない結社のご年配の方々から、選者の先生、地元の新聞記者さん、歌会初体験の方から鳥歌会のお馴染みさんまで、年齢層も所属も様々という顔ぶれ。どんな歌会になるかなと思いましたが「マンガ」というテーマや世代差もあって、「詠み込まれた作品を知っている/知らない」「世代による漫画との関わり方の違い」「漫画についての知識の深さの違い」などから、いろいろな意見が飛び交う面白い歌会となりました。
いつもの通り一首ずつ評を終え、最後に投票。持ち点は3点です。
今回の最多得票【鳥賞】は、真中朋久さん(ぶっちぎりの14票!)、そして鳥賞受賞者が選ぶ【雛賞】は、森下陽子さんでした。
初の和歌山での鳥歌会でしたが、今回も参加してくださった皆さんのおかげで本当に楽しい時間となりました。ありがとうございました。

全国あちこちでこのような短歌なイベントがあると、その土地土地で短歌を楽しむ方々との繋がりも生まれ、短歌に興味があるけど触れたことがない方にも一つのきっかけとなります。他地域から参加される方にはその土地の魅力を伝える一助にもなるかも。そういったところが都市部で開催されるイベントとは少しだけ違った空気感を生む要因かなと感じました。
もっと様々な場所でいろいろな方の手によってこういった会が開催されるといいのになと思います。
今回の会を企画しお声掛けくださった紀水さん、ゆるらさんには心から感謝しています。楽しいイベントに参加させていただきありがとうございました。

 



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