題詠100☆2017 投稿110首

2011年からの毎年2月のお楽しみ「題詠100」!(旧「題詠マラソン」「題詠blog」)
今年も特別に許可をいただき、Twitter上でお題に参加させていただくこととなりました。
五十嵐さん、そして取り次いでくださった中村さん、ありがとうございます。


001:入/入口を見落としたまま歩いてる それなりにしあわせなはずだった
002:普/普通ってなんだったろうおそろしく普通のつもりで生きてきたけど
003:共/共感は求めていない大人の恋なんて綺麗なものですらない
004:のどか/のどかだな 猫は寝てるし晴れてるし心は平らで風すらないし
005:壊/パソコンと冷蔵庫が壊れた夜にググれば直せるわたしと気づく
006:統/レイヤーの統合みたいに簡単に被ったネコよわたしにおなり
007:アウト/犬を飼えばアウトと聞いて猫を飼う そんな理由で買われた命
008:噂/既婚とか子持ちとか噂のなかのわたしはやけにしあわせそうだ
009:伊/伊達メガネ掛けて隔てていたいほど世界は少し美しすぎる
010:三角/消しゴムを三角に切る 尖ってることが価値にもなり得る社会

011:億/一億円当たったけれど今朝もまた駅のコンビニで買うメロンパン
012:デマ/室長の恋の噂を聞きながらデマだとわたしだけが知ってる
013:創/なにひとつ創生しない営みに「あい」なんて音ひびかせないで
014:膝/肘膝がやけにカサつく必要とされていないと知らせるために
015:挨拶/にこやかに挨拶をする晴れの日も雨の日も空が落ちてくる日も
016:捨/計算上そろそろ拾う神が来る 捨てる神ばかりいた人生に
017:かつて/きららかな二月の催事場をゆく かつてないほど険しい顔で
018:苛/ふわふわのクッション集めその奥に密かに埋める苛々の種
019:駒/駒だとは言われないけど駒だろう またひとつ履き潰れたヒール
020:潜/真っ白な湯船に思考と肉体を潜らせ探すあたらしいわたし

021:祭り/お祭りの夜店はこわい魂を甘く煮詰めてリンゴにまぶす
022:往/往復の切符を握りしめながら手招きされた恋に飛び込む
023:感/感情のすべてを平らにしてからの強さ不変に凪ぐ海となる
024:渦/感情の渦にのまれていく夜を幾度越えれば来る春だろう
025:いささか/いささかのヒビなら込みで愛したい無骨なひとのざらつく素肌
026:干/突然の拒絶に雨は止まなくて部屋干しのわたしは濡れたまま
027:椿/髪先に椿油を塗り込んで乾くばかりのわたしを愁う
028:加/ひとつまみくらい加えてちょうどいいはずの嫉妬をぶちまけている
029:股/たいせつにされないことに慣れていた二股を驚けないほどに
030:茄子/まだ誰の所有物でもないうちにお腹いっぱい食べる秋茄子

031:知/なけなしの知識と知恵を掻き集め遅刻理由を創作してる
032:遮/遮断機があなたとわたしを隔てたらこれで最後と決めていました
033:柱/決壊の近い目蓋をいつだって冷やしてくれる柱の影は
034:姑/姑息だと知りつつ喘ぐ手のひらは未だこんなに冷えているのに
035:厚/できるならわたし全てを隠したいファンデーションを厚く重ねる
036:甲斐/抗った甲斐もなくまた落ちている軽い言葉を操るひとに
037:難/難点を次々挙げて張るバリアわたしはわたしがいつでも嫌い
038:市/有休で市役所に行くぷかぷかと他人の町でまた生きている
039:ケチャップ/ケチャップの終わりを予測できなくて殺害現場となる皿の上
040敬/年寄りは敬うべきよ、と後輩の声聞こえきて冬枯れの朝

041:症/重症だ 微熱と震え あなたから初めてじゃないくちづけがきて
042:うたかた/手をつなぎそのまま眠るうたかたの人の望みは深海めいて
043:定/定石のようなことばに撫でられて欲しがっていたものを忘れる
044:消しゴム/消しゴムのカスを集めて練り消しを作る感じでできてるわたし
045:蛸/こんなにも酔うのはあなたの前でだけなのに茹で蛸なんて言われる
046:比/比類なき独占欲が湧き出でて遠くなることばかりを選ぶ
047:覇/愛されてない選手権を制覇した女子会帰りヒールも折れた
048:透/透明になりたい誰にも見えなくて誰も傷つけないまま眠る
049:スマホ/もう声も手触りも遠くなりそうだきみはスマホの文字だけのひと
050:革/本革のブーツを買ってまたひとつわたしの形になるものを得る

051:曇/突然の曇天きみと話すたび変化ばかりのこころの天気
052:路/しあわせじゃない末路なら知っていて人魚姫なら共感できる
053:隊/隊列を組むほど仲間がいることを見上げた空が見せつけてくる
054:本音/幸せや普通や本音を探してる 探してばかりで終えるのだろう
055:様/「おひとり様ですか」に「はい」と明瞭に答える少し強くはなった
056:釣/真夜中の自販機だけはやさしくてお釣りも少し多めにくれる
057:おかえり/おかえりと言う人のない毎日にまたひとつ増えてしまうぺんぎん
058:核/きらきらの二月の街を突き進む核スイッチを押す面持ちで
059:埃/女子力は埃をかぶって寝ていますうっかり春を逃したせいで
060:レース/ひらひらのレースの服を眺めてる薄く目を開け眉根を寄せて

061:虎/どちらかと言えば虎より鯉なので六甲おろしは嗜む程度
062:試合/全試合敗退でした挑むたび和やかに微笑まれてしまう
063:両/両の手に海を湛えてまだ淡くおさなさ残すあなたを掬う
064:漢/漢検も英検も持たぬわたくしの雪原のごと輝る資格欄
065:皺/皺ひとつひとつ気になるスカートをぐしゃぐしゃにして隣に座る
066:郷/けれどもう許してほしい故郷を持たずここから生きてゆくこと
067:きわめて/様々な要素も未来も見きわめて選んだひとの誰もが去った
068:索/日曜の真昼の枯渇 詮索はしたくないけど何してますか
069:倫/あたたかなゆびが背中を伝うとき倫理の鍵のつとひらく音
070:徹/完徹の肌を鏡に映しつつ眠れぬことも病と思ふ

071:バッハ/しんしんと嫌味は降りて頭髪はバッハの如く膨らみ始む
072:旬/春未だ遠くひとりのリビングでわたしの旬はわたしが決める
073:拗/拗らせた心に鈍く添うような曇天のもと駅までをゆく
074:副/ラーメンと餃子の副産物として何故か隣で眠る後輩
075:ひたむき/ひたむきに爪の長さを揃えてる土曜の底の冷たい部屋で
076:殿/さむさとはさみしさ冬が来るたびに殿堂入りのフレーズを噛む
077:縛/思い込むことで束縛は甘くなり歩きだせないわたしをつくる
078:邪魔/底の底の底の底まで落ちるのを邪魔するように腹を揉む猫
079:冒/入口はまだ見つからずいつまでもこの冒険が始められない
080:ラジオ/ラジオから朝がただようドリップの落ちるまで乾く目を伏せて待つ

081:徐/すぐそばを徐行で過ぎる全速の好意は傷を与えるばかり
082:派/結婚はできない派でなくしない派でそれはさておき買う抱き枕
083:ゆらゆら/ゆらゆらとピアスはゆれる触れたがる迂闊な猫を捕えるために
084:盟/去年まで盟友だった友からのレース模様のマリッジカード
085:ボール/ボール球ばかりを寄越すこの人は結局わたしじゃないのだろうな
086:火/うちがわに火を抱いている泣くときも食べてるときも微笑むときも
087:妄/月曜を妄信してる土日には気配すらないあなたを待って
088:聖/聖域と名付けたそこで僕たちは人知れず汚れてばかりいる
089:切符/切符だけ大事に持っているけれどしあわせ行きの電車が来ない
090:踏/詮索をヒールの踵で踏み潰し今日もひとりの部屋へと帰る

091:厄/春もまた厄介である用もなく心ばかりがやけに浮き立つ
092:モデル/人生の指針を決めたひとり用モデルルームのチラシを見つつ
093:癖/吐き出したマイナスをいつもスルーするあなたはじっと対極にいる
094:訳/翻訳をせずに流れていく母の呪文のようないつもの小言
095:養/心には枯れた蕾が蔓延って来るはずのない養分を待つ
096:まこと/狡猾なあなたの態度は抜かりなくまことしやかに愛されている
097:枠/必要のない枠線を消してゆく
を世界に足して
098:粒/粒ぞろいだと言われてた入社時のわたしだけまだ芽が出ていない
099:誉/すかすかな誉め言葉だけ上手くなる君はわたしと離れるべきだ
100:尽/尽くすほど離れるひとと知っていて音も立てずに落ちゆく椿

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寄り道コース

101:轢/春の野を俯き俯き歩きつつ轢死した花々を葬る
102:鼎/鼎峙したまま凍る刻おそらくはただの知り合いとか言うのだろう
103:スパナ/脳天をスパナで殴られたような甘すぎる嘘ばかりつかれる
104:欅/木漏れ日の欅並木は眩しくてたましいたましい飛んでいきそう
105:饒/饒舌なときほど嘘を吐いているあなたがいちばん愛らしいとき
106:鰆/手作りのお弁当から円満をはんなり主張してくる鰆
107:蠱惑/蠱惑的眼差しを以て見るひとに睨むななどと叱られており
108:嚢/積み上げた土嚢を容易く押し流し決壊ばかり起こす涙腺
109:而/而るのちしあわせになる姫たちのおしなべて見目麗しきこと
110:戴/現実におとぎ話は起こりえずかなしい愛をひとつ頂戴



以上寄り道コースも含めて110首、2月2日スタートで、2月14日にゴール。
今年も2月中の完走を果たしました!

さてさて今年の裏テーマは何でしょうか~?
あまりこれ!とわからないくらいのふわっとしたテーマかもしれません…?

※追記:
Twitter上で正解がでました!ヽ(・∀・)ノ
今年の裏テーマは「キャラクターを立てて詠む(女性/30代後半/会社員)」でした!
どうでしょう、ちゃんと表現できているかな…?

毎年2月の楽しみ、今年も参加できてとても嬉しかったです。
来年も楽しめますように(*´∇`)

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