2016/1/21

8541 届けたい言葉も無くて吐く息の白が見たくて零す「あ、雪」☆
8540 雪の日のその手のひらの色だけを言葉代わりに遠く見ていた☆
8539 それならばまた始めから息を詰めゆびを合わせて仄かな雪崩
8538 ただいまをおやすみを言うひとだった体温はもう思い出せない
8537 暖房のうるさい部屋でひとことの音もなく崩されれば空虚
8536 両膝は忘れてしまうスカートをはかない日々に冬と咲くこと
8535 つもる雪 あなたではない手のひらの厚みを肩で受け取りながら
8534 何度でも飲み込むことば諦めを許せば今日も朝のくること
8533 眠れたらまたひとつ忘れてゆける足跡を消す雪はやさしい
8532 雪の朝みたいに告げるおはようのようのあたりにまだ夜は住む
8531 爪の先まで知っていて目の冴える夜更け答えが欲しいんじゃない
8530 消すことで保たれているバランスの夜に溢れた文字を葬る
8529 どこまでも好きなひとだけ好きなだけ噛むように冬こころを冷やす
8528 見えていることだけ見えていればいい忘れるために踏みつける雪
8527 心とは別なのですか欲情はあなたの日々を知らずにいたい
8526 その指が触れるとき何を思うのかわたしではないひととするひと
8525 別々の生き物だからわからないことをわからないまま飲み込む

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