2016/12/26

8465 かなしさの逃げ道としてびりびりとストッキングを裂きながら履く
8464 ビル影を踏みつけ歩くこの街にまだ馴染まないヒールの踵
8463 さみしさはたぶん空腹のせいだから あなたのいないまひるまをゆく
8462 灰色のビル、ビル、工場 感情をひととき捨てるため歩く路地
8461 憂いならこの街のそこここにある わたしのことはほっておいてよ
8460 会いたいとそんなに思えなくなって(いいぞ)しずかに暮れてゆく空
8459 車窓には三階建てが増えてゆき家族まみれの街の夕焼け
8458 持て余すほどの嫉妬を抱いていて夕暮れ月はあんなに赤い
8457 帰る場所、帰るべき場所。あのひとも帰ってゆく。この街のどこかへ。

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