2015/3/22

7695 あたたかな春です理由はそれだけでいいですかではこれでさよなら
7694 花の名もわからぬままに褪せてゆくストラップなら取り替えがきく
7693 手放せば手の中にある幸いに気づける春のただなかにいる
7692 悪癖と思え放置を受け入れてなを恋うだけの春の盲信
7691 どうすれば目が醒めるのだ五杯目のカフェラテ伏せた睫毛してきみ
7690 ほどかれるために生まれる黒々と両腰に忍ばせている蝶
7689 午前二時 闇すべからく満ち満ちて素足がやけに白くたゆたう
7688 前傾の首を窓から放り出しひかりに晒す また眠れずに
7687 三日月を瞳に宿しひたひたとわたしを消しておりる階段
7686 時明かりまだ遠く狡猾そうな午前三時の月の呼び声
7685 のびやかに手足を投げる爪の先まで見てもいい攫ってもいい
7684 庭先に足跡ひとつ月光と消えた少女の噂がひとつ

KohagiUta

Kohagi Chihara|tanka & design|

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