2014/5/5

5971 暗がりに投げ出す白いくるぶしは水あめよりもおそらく甘い
5970 この鳥居くぐれば夏の夜は解けいつも通りのふたりに還る
5969 息を吐くことすら忘れてしまうほどきみとの夜に浸されている
5968 張り詰めた一瞬はある喧騒を少し離れて目が合ったとき
5967 履き慣れない下駄でつまずいただけだからそれだけだからいま触れた腕
5966 オレンジと赤のひかりに舞い上がる頬を夜風は冷ましてくれる
5965 ふわふわの雲を食べよう子どもって笑ったからもう分けてあげない
5964 きみが釣る水風船はふたつとも青いわたしの浴衣と同じ
5963 ポケットに入れっぱなしの左手は出てきませんか(繋げませんか)
5962 斜め前歩く背中にきらきらと金平糖の夜は傾く
5961 少しだけ鼻緒が痛いなんてこと言えないままに後ろを歩く
5960 雨はまた知らない街を暗色に変えて迷子をひとり生み出す
5959 ざらついた胃の奥底に溜まるだけすぐそばにある見えない会話

KohagiUta

Kohagi Chihara|tanka & design|

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