題詠blog2014 投稿100首

001:咲/あしたには咲いてしまうからつま先をベビーピンクに染める真夜中
002:飲/待っているでしょう最後のひと口を飲み干したらすぐ触れる気でしょう
003:育/「会いたい」の欠片を高く積み上げて超えないための壁を育てる
004:瓶/ワイン瓶ふたりで空けて倒れこむ波間 二時間だけの漂流
005:返事/だいすきにだいすきと返事することがいつ頃からか終わりの合図
006:員/ほっぺたの筋肉を総動員しホームに消えるきみを見送る
007:快/快晴であれこれからのきみのゆくわたしのいない道のすべてが
008:原/原色の部屋にはどこか溶け込めずくすんだたましいふたつで揺れる
009:いずれ/いずれくる日までは気づかないでおくあたたかなこの手の消えること
010:倒/倒れ込みたくなる足を硬くして隔てるドアが閉じるのを待つ

011:錆/錆びてゆくこころもあると知っていてあなたは甘い雨を降らせる
012:延/延べ時間換算すれば出会いから一ヶ月にも満たない愛だ
013:実/現実があるからこんな二時間があるのだ今だけ奪い尽くして
014:壇/壇上に上がれば隣り合える気がして腰掛ける高めのベッド
015:艶/ぱさついた髪であなたに揺れている艶やかであれ零れる声は
016:捜/捜索を始めます少し意地悪なひとを震わすスイッチの場所
017:サービス/抱擁とキスと今ならサービスでこころもついてきますがいかが
018:援/援助して差し上げましょう独り寝のあなたを埋める容れ物として
019:妹/姉だって妹にだって嫉妬する隣で生きる理由がほしい
020:央/朝十時中央改札口を出て二時間きりの彼女になる日

021:折/心ごと置き去りにする使用済みタオルをふたつ折りたたむ部屋
022:関東/関東が嫌いになりそう出張前一時間きりのデートの終わり
023:保/服薬をしているけれど愛という保険のために挿れる錠剤
024:維/関係を維持するための消極をさみしがるあなたの仔犬の目
025:がっかり/がっかりねそんなに好きと言うなんてこんなに深く愛するなんて
026:応/黒い目の波間で呼応し合いつつきみの終電ばかり気になる
027:炎/必然であった炎上 捉えられコップの水を飲み干す終わり
028:塗/またひとつ塗り重ねられ深くなる誰かのものになるたび、わたし
029:スープ/遺伝子のスープを混ぜる愛なのか愛じゃないのか答えはいらない
030:噴/噴き上がるものをその口で抑えてよ止めてよ愛を叫んでしまう

031:栗/手始めに大きな栗の木の下であの日を超えるキスをしましょう
032:叩/初めてのシャワーに背骨を叩かれて待つ人の腕の温度を思う
033:連絡/この恋が終わらないのは連絡のこない土日が引き剥がすから
034:由/理由ならわからないけど一時間きりのランチで始まるふたり
035:因/原因を探さないまま受け入れて会うたび膨らむ謎に溶けあう
036:ふわり/そのためのスカートのなかに舞い込んだてのひらふわり一筋の熱
037:宴/からあげと缶ビールだけ見慣れない部屋で前戯としての小宴
038:華/華やかさなんてないけど会う時は少し広がるスカートで行く
039:鮭/コンビニの鮭おにぎりとツナサンド熱を隠して頬張るふたり
040:跡/痕跡をわざと残して主張するここに確かに恋があること

041:一生/未来など一生こないこの人と今日も二時間重なり生きる
042:尊/尊さに気づいてしまうこんなにも深く誰かを愛せるひとの
043:ヤフー/現世にてきみといられる方法を途方に暮れつつヤフーでさがす
044:発/手に触れることもできずに隔たれて発車ベルだけ焼きつく間際
045:桑/桑の葉をもしゃもしゃ食べてきみを待つ拒絶の繭にくるまりながら
046:賛/賛成をしてもらうしかないのです別れはいつも独りで決める
047:持/あなたには見せない顔も持っていて「全部好きだ」と言われてしまう
048:センター/好きになるものをいつでもセンターに置くから壊れてしまう日常
049:岬/岬から飛びこむ心地 裏切りの夜にあなたへ駆け寄る足は
050:頻/頻繁に会えないことが普通でしょ たとえ恋でも恋でなくても

051:たいせつ/たいせつにしたいだなんて言う人にすべて残らずひらかれている
052:戒/占有の証が残るきみだけのものになれない戒めとする
053:藍/助手席にきみを乗せ藍色の夜このままいなくなろうか、なんて
054:照/「うるさい」だなんてひどいな照れるならもっとかわいく照れてみなさい
055:芸術/伸びやかに熱持つ四肢が絡みつきいま芸術にいだかれている
056:余/下腹部に余熱は残りワイシャツに隠されてゆく肌、まだほしい
057:県/県道を避けて車を走らせてかならず終わる恋だと思う
058:惨/惨敗は確定している立ち位置でひと時きみを慰める役
059:畑/あたたかな恋を何度も注がれて畑は夜毎きみを欲しがる
060:懲/懲らしめてあげる疲れたなんて言う暇もないほど愛してあげる

061:倉/煩雑な心の倉庫の隅っこに並べて仕舞う過去になるひと
062:ショー/あの人の指先を思い出したくて素肌にやわく羽織ったショール
063:院/今月も院外処方で受け取ったきみと溶けあうための錠剤
064:妖/妖しげな魅力を振りまくはずなのに撫でられてしまう膝上のネコ
065:砲/話すたび受ける砲撃まなざしも声も文字すら甘すぎる弾
066:浸/じわじわと浸食される秋よりも冬よりもきみに崩されて春
067:手帳/きみといた唯一の証としての手帳に散らばる無意味なマーク
068:沼/深淵の沼にずぶりと踏み入れたあなたを帰さなくていいですか
069:排/排他的恋でも今はよしとする何ひとつ捨てられない背中
070:しっとり/そんなにも満足そうに微笑むのしっとり濡れた中指をして

071:側/目を逸らしたら負けだからひたすらに側で見ているきみに吹く風
072:銘/出張のたびに銘菓を買う人と小さな部屋で分け合う甘さ
073:谷/谷間など存在しない丘陵を愛おしそうに撫でる手のひら
074:焼/じゅうじゅうと派手に焼餅を焦げつかせうまく大人になんてなれない
075:盆/覆水は盆に帰らずびしょ濡れの恋の水面に飛び込んでみる
076:ほのか/甘すぎる水にほのかに色めいて帰るところを忘れたほたる
077:聡/聡明なあなたの理性を打ち崩しひと時きりの獣に変える
078:棚/今だけはすべてを棚の上に置く何も持たないひとりとひとり
079:絶対/絶対に叶わないから言えること「ずっと一緒にいたい」「いたいね」
080:議/本日の議題は「夜更かしのしすぎについて」夜更かししながら話す

081:網/その腕の網にかかった魚です びくりびくりと真白い波間
082:チェック/するするとチェックのネクタイを結んでゆくその指を沈められてた
083:射/射抜かれて穴が空いたからこんなにも足りない胸に風ばかり吹く
084:皇/甘えたなあなたの国で女皇たるわたしの膝で眠る黒犬
085:遥/夢うつつ「だいすき」「だいすき」「だいすき」と絞り出すたび遥かな呼応
086:魅/降りそそぐ目線に名前を呼ぶ声にまた魅了され跳ね上がる腹
087:故意/故意じゃないことにしておく絶妙なタイミングで押す通話ボタンは
088:七/午後七時すべての支度を終わらせてふたりぼっちの夜へと走る
089:煽/遠距離の眩さに煽られているせいねこんなに求めあうのは
090:布/手探りで布を引き剥がされてゆく温い果汁を分け合いながら

091:覧/ねぇご覧ほんとのオトナみたいだね鏡のなかで絡みあうもの
092:勝手/お許しもないまま勝手に降下して食んでしまうね 止めないのなら
093:印/所有印残すのはいつもきみだけで誰のものにもなれない肌だ
094:雇/報酬は甘いことばで構わない雇いませんか二人目として
095:運命/運命だなんて何度も口にする休日話せなくなる人が
096:翻/白旗が翻るよう奪われたバスタオルもうすべてあなたの
097:陽/陽だまりにきみの頭を膝にのせ昼寝をしよういつか来世で
098:吉/末吉のおみくじ「恋は感情を抑えよ」なんて無茶言わないで
099:観/なんにでもおしまいはあるジンクスは知っててきみと乗る観覧車
100:最後/おそらくはこれが最後とわからずに離れるいつかがまた来るでしょう

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