20120602

3514 はつ夏の秘めごとにあし踏み入れて部屋の湿度を仄かにあげる #はひふへほ

3513 校庭を水浸しにして雨雲の巨大戦艦去った放課後

3512 雨が落ちてきてるんちゃうで あたしらがぐんぐん空に登ってんねん

3511 歯ブラシがひとつ増えてる不意打ちに平常心は頬から逃げた #はひふへほ

3510 一日の終わりぽつぽつと愛されてゆく切り取った恋 星は降る

3509 文字だけで攫おうなんて甘やかな言葉に飢えているわけじゃない

3508 好きでいてくれてもいいけど心ごと攫うにはまだ足りない接触

3507 重すぎる髪を引き連れ雨の日は置き去りにしたものばかり知る

3506 雨粒になる前に蹴散らしたからどうやら恋にならずに済んだ

3505 引き金を引いてしまえば溢れ出す 知っているから泣かないで、空

3504 ひとつずつ磨いたときめきを繋いでいつか君の目に留まる日を待つ

3503 日常の隅に転がる原石を拾い集めてときめきとする

3502 つま先も髪も素足も整えてただあのひとに壊されるため

3501 行かなくていいよと言ったひとの手の湿度をいまだ残す首筋

3500 はつ夏の風に素足をなぞられていつかの部屋の夕暮れにいる

3499 薄青の花弁に交ぜて紫にしてしまおうか色づく恋は

3498 ひややかでいられたらいい熱情を閉じ込めた胸に留める紫陽花

3497 あの夜が淡く霞んでゆく朝に紫陽花の葉をなぞるゆびさき


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#はひふへほ とあるものは、折句「はひふへほ」で詠みました。
難しかった…!

KohagiUta

Kohagi Chihara|tanka & design|

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